No Matter What Will Be

アメショー、CX-30、音楽、旅等についての記録

現役引退者(素人)が見るコロナ対応

テレビが好きでない自分でもその日の感染者数を確認するために時々夕方のニュース番組を見ることがある。
貴重な時間を割いて現場の医師が出演されていることがあるが、どの局でもMCやゲストの芸人の質問が中途半端だったり、細かな手段と戦略がごっちゃまぜで議論されたりするため、いらいらさせられることも多い。
せっかく引退したのに、部下が指示通り動かない現役時代のあのいらいら感を味わうというこのストレスを軽減すべく(笑)、素人の視点から、現状のコロナ対応について考えてみた。

対策案の全体像
さすがに、キャリア官僚はまだまだ優秀らしく、厚労省のHPでは、対応として何をすべきかが教科書的にまとめられている資料が見つけられる。
難点を言えば、具体的にどう実行するかが見えず、現場丸投げになる可能性を孕んでいることだが、方針なのでまぁやむを得ないところもあるかと。
おそらく、キャリア官僚が専門家とも調整しながら、現状把握=>現状分析=>問題・課題把握=>対策立案という通常の流れで策定し、実行・見直しが行われてきたものと考えられる。
少なくとも自分には、これに沿って的確な策が的確な方法で実行されていけば、うまくいくのではないかと思わせてくれる。現状は、そうなっていないということだろうと。

誤算[デルタ株の出現]
対応策の実施の過程で、新たな事象の発生や新しい事実の発見があり、それが重要なものであれば、見直しに大きな影響を与えることになる。デルタ株の発生は、「そういったもの」(どこかで聞くフレーズ(笑))の一つであることに疑いの余地はない。
最近少し動きはあったが、見直しを繰り返された対応策は、基本的に第3派のときから変わっていないという印象であり、デルタ株が甘く見られていたのではないかと思われる。
デルタ株の国内感染拡大を防ぐ第一の有効な方策は、誰が考えても水際で止めることであろう。デルタ株の海外での感染とその威力が判明した5月の時点で、ある専門家は入国者の14日強制隔離を提言していたそうだが、その提言は採用されることはなかった。
感染爆発が生じている現時点でも、変異株発生国からの入国者は3日間の強制隔離(+検査)と11日間の自主隔離があるが、その他の地域からの入国は14日間の自主隔離となっている。
言われたことを素直に聞く日本人ならともかく、自主隔離は有名無実になっている可能性が高く、検査を誤差ですり抜けた感染者や潜伏期間中の自主隔離者が市中で感染を引き起こしたであろうことは容易に想像がつく。
島国という水際対策に大きなメリットを有しているにもかかわらず、このメリットを活かせなかったのは痛い。
14日もの強制隔離があると、ビジネス関係者は渡航をあきらめて、WEB会議等を使うことにするので、自分にはビジネス面からの悪影響はそれほど考えらず、入国者数とそれに伴うリスクも大きく減らせたのではないかと思う。一方、オリンピックで来日する関係者の数は膨大であり、彼らはWEB会議等の手段で本来の目的を達することはできない。また、その数に対応する隔離施設も確保が困難だろうし、選手の調整の公平性の観点からは長期隔離は望ましくない。そうすると、最優先すべき水際対策の強化ができなかったのは、オリンピックのためだったのかと邪推したくなる。ラムダ株が水際で発見された現時点でも、水際対策に変化がないことに疑問を持たざるを得ないし、危惧している。
また、政府の政策があまりにもワクチン接種に重点を置き過ぎていたことが、60歳未満の層の感染拡大につながっており、さらにラムダ株にはワクチンは効果が低いことも大きな誤算だったように思える。

対応すべき事項
爆発的感染者増を生じている現時点で対応すべき事項は、誰が考えても次のふたつだろう。
 1.感染の抑制・防止
 2.感染者の治療
それぞれについて、考えられる方策としては、主として次のようなものか。
 1.感染の抑制・防止
  (1)徹底した水際対策
  (2)感染拡大防止のための行動制限
  (3)ワクチン接種
  (4)感染者の早期特定(発見)と隔離
 2.感染者の治療
  (5)治療施設(病床等)、機器および医療従事者の確保
  (6)既存治療薬の確保
  (7)治療薬・ワクチンの開発

こうやって見ると、残念ながら、素晴らしく機能しているものは現時点では皆無と言ってよい。
(1)徹底した水際対策は、ザルである。少ないコストで非常に大きなメリットがあるのに、なぜこれをうまく活用しないのか理由を聞かせて欲しい。(笑)
(2)感染拡大防止のための行動制限については、これを国民の自粛に頼ったものの、GOTO実施やオリンピックの開催という行動制限と矛盾した政策の実施で、国民の協力的態度を低下させ、制限効果を低減させてしまった。
(3)ワクチン接種は、一定の効果はあげているものの、当初の予定より遅れてしまった。また、接種対象を東京をはじめとした感染リスクの高い地域を優先とし、世代も満遍なく行っておれば、大都市圏でのこれほどまでの感染爆発は防げた可能性があるのではないか。さらに、変異株の出現により、ワクチンの効果は一定程度低く査定せざるをえなくなった。
(4)感染者の早期特定(発見)と隔離に至っては、東京で濃厚接触者の積極的追跡を放棄するといった、やるべきことと全く逆の方針が採用されるに至っている。自宅療養なんて、治療面からも感染拡大防止の面からもやってはいけない。検査数を増やし、受けやすさも改善しないといけない。
(5)治療施設(病床等)、機器および医療従事者の確保の実行は、各都道府県に投げられているのだが、各都道府県の病床確保は第3波の時からほとんど変化がなく、これもデルタ株を軽視していたとしか思えない。現時点でも、病床の増加は難しいようだが、都道府県は行動制限の強化ばかりお願いせずに、具体的に何が病床確保のボトルネックになっているかを明らかにして、国に支援を求めるべきだと思う。軽症であっても、自宅療養というのはあってはならないと思う。
(6)既存治療薬の確保は、やっと有効性のある新治療薬の使用開始の話がでてきたが、どんどん充実させていって欲しい。
(7)治療薬・ワクチンの開発については、時間軸が少し長くなるものではあるが、国産の実現に向けて、大いに支援を行って欲しい。

当面は、水際対策の強化、自宅療養者の解消および感染者の早期特定(発見)と隔離の3つを強力に進めて欲しいと願うものです。入れない、増やさない、消す、だよ。ラムダ株は絶対入れてはいけない。早く旅に出たいのですよ。(笑)